2020年2月5日水曜日

ニコチン検査の有無について~現場確認がないままの受動喫煙症診断基準の信憑性~

昨日紹介した被告準備書面(7)の4ページ下にある「4.コチニン検出について」という部分をまずは確認いただきたい。
コチニンとはニコチンが体内で変化した物質のことである。

2017年4月、作田氏は、自分と提携関係にある「くらた内科」がいったん下した「受動喫煙症レベル3」という診断を「レベル4」に引き上げた。

提訴当時、私には「受動喫煙症」なる病に対して全く知識がないため、まずはインターネットで「受動喫煙症」「基準」などとキーワードを入れ調べてみた。するとすぐに、作田氏ら複数の医師が作成した「受動喫煙症診断基準」が検索に引っ掛かった。中を確認すると、レベル4と認定されるには、煙草煙に暴露後24時間以内に採取された尿からコチニンが一定数検出されていなければならないことがわかった(1ページ目下を参照)。

受動喫煙症診断基準

つまり現場には大量の煙があったことになる。

私は衝撃を受けた。そもそも、両家の周辺に濃厚なレベルの煙草煙どころかそのようなもの自体が存在しない。原告A夫は確かに自らの過去何十年に及ぶ喫煙歴を隠して提訴に及んだが、作田氏が診察した時期もすでに(本人の陳述書によると)禁煙し始めて2年余りが過ぎていた。また、被告も自宅の防音室内で極わずかな量(紙巻きタバコに換算し一日1、5本程度)しか吸っておらず、なぜコチニンが検出されたとの検査結果までをも捏造するのか理解ができなかった。



私たちはその疑問を被告準備書面(7)の中で作田氏に問うた。すると、意外な回答が作田氏から返ってきた。
                             

引用:2019年3月28日提出「追加意見書(9ページ)」
5.(原告代理人山田義雄氏)
藤井氏は「受動喫煙症基準」(乙9)を証拠として裁判所に提出しており、受動喫煙症レベルⅣの判断にあたっては、尿検査によるニコチン検出を基準としているように記載していますが、本件はこれが当てはまるのでしょうか。

(作田氏回答)
 乙9号証の判断基準は、日本禁煙学会が2005年に出した基準です。そして既に述べた甲47号証の判断基準は2016年に作成されたものです。つまり、受動喫煙症レベルの診断基準については、2005年段階の様々な研究や、多くの患者さんの実証データにより、改善進歩しているのであり、現在はこのような尿検査は不要という判断に立っているのです。逆に言えば尿検査によるニコチン検出が、受動喫煙症のレベルの各段階に必ずしても対応しないことが、多くの実証データで明らかになった為に、2016年の基準の改訂(作成時点)で、それを外しているのです。
 したがって、藤井氏側の指摘は全くの的外れであると言わざるを得ません。

                             

つまり、今やニコチン検査すら必要なくなっているというのだ。拍子が抜けた。新基準を見る限り、レベルの横に病名が羅列されているだけである。まさか、この表にある通り、右に羅列された患者が罹患している病名から逆算して受動喫煙症なるもののレベル判定をしているわけではあるまい。

「受動喫煙症」なる病が何千万円もの裁判の根拠になるというのであるからには、それ相応の判断根拠や検査等がなければならない。とすれば、作田氏は上記の回答では、なぜ「レベル4」に引き上げるべきと判断したのかその根拠について述べなくてはならない。どのような検査を経て一段階上げるという判断に至ったのか、結果内容を公表して私たちを説得すべきである。同様に日本赤十字医療センターおよび日本禁煙学会も自浄作用が問われている。
幸い、横浜地裁は適切な判断を下した。昨年11月、作田氏を医師法20条違反と認定だけでなく、「その基準が受動喫煙自体についての客観的証拠がなくとも、患者の申告だけでして構わないとしているのは、法的手段をとるための布石とするといった一種の政策目的によるものと認めれれる。」「日本禁煙学会が提唱する診断基準にしたがって『受動喫煙症』と診断されてはいるが、その診断が、原告らの主訴のみに依拠して判断し、客観的裏付けを欠いている。」とも断罪した。

判決文12ページ「イ」参照 
第一審横浜地裁判決文

作田氏は医師として公に対して説明すべきことが多くあるのではないか。



私たち被告にとり、日本禁煙学会のあり方までにも踏む混んで断罪したこの横浜地裁の判決は夢のような内容であったことは間違いない。

インターネットを見る限り、世の中にはこの事件を作田氏が世の喫煙を成敗するために自らを犠牲にした美談と捉える人もいる。また、喫煙なき社会に向かうためにはこの様なスケープゴートもやむ無しと捉える人もいる。しかし、こうしたことは他人事だから言えるのであって、同じことが自分の身の上に起こった場合を想像してほしい。現場を見に来ることも無い人間に一方的に自分たちが犯人だと決めつけられ、捏造され、4500万円も請求されても、それを受け入れるのか。「禁煙の世の中になるためにぜひとも我が家を犠牲に利用して下さい」と。

これまでの経緯

【平成28年 (2016年)】 ◆9月 6日◆  A夫訪れ、直後A妻がバラバラに訪れた。 将登(まさとう)、タバコのサンプルを渡す。将登が換気扇の下で実験を行うが、A家族3名は臭いを確認できず。 ◆9月22日◆                              ...